A2ミルクへの想い

安心安全なA2ミルクを日本のみなさまにお届けしていくために

丹念に作り続けてきた牛乳を

すべての人に安心してご賞味いただきたい

―――その想いは酪農家として共通の願いです

A2ミルクの存在を知ったのは9年程前のことでした。

北海道開拓期より119年続く酪農一家の5代目として、牛乳をご提供してきた私にとって、大きなショックだったことを今でも忘れられません。

 

当時はまだ日本国内に情報がなかった時代。

海外の論文や書籍などから情報収集するしかありませんでした。さまざまな方々のご協力により、一つひとつの情報を紐解いていくうちに、国内においてもA2ミルクに関する啓蒙活動を行うことが酪農家としての使命であると強く感じ、2020年に日本A2ミルク協会の設立へと至りました。

牛

そんななか海外で発表された論文で、A2ミルクをご提供する上で欠かせないこと、それは品質を保証するための入念な検査であることを知りました。

しかしながら、当時はそのような検査機関が国内に存在しておらず、海外に依頼しなければなりませんでした。

一定の基準を満たした海外の検査機関を探し、やっと第一歩が踏み出せる。そう思った矢先に、アクシデントに見舞われました。

論文

それは検査のために牛乳を輸出する手続きをした時のこと。

基準を満たす検査のためには、それ相応の量の牛乳の提出が求められていました。要冷蔵の状態を維持しなければならず、高額な輸送コストが必要になりました。

ようやく検査データが入手出来ると思った矢先、諸事情により輸出した牛乳が通関で止まってしまっていたことが判明しました。既に牛乳は傷んでおり、検査を実施することも出来ず、手元に残されたのはいくつかの請求書でした。

安全性を担保するために、牛乳の検査は1回だけではなく継続して実施するもの。その度に海外へ輸出しなければならないとなると、検査のためのリードタイムや必要経費がボトルネックになってしまいます。このような経験から、日本国内に検査機関のシステムを構築することが大前提であると確信しました。

牛乳

A2ミルクの研究は海外が先行していることから、日本A2ミルク協会の特別顧問として数多くの論文や書籍を発表されているニュージーランド、リンカーン大学アグリ・フード・システム名誉教授 兼 アグリ・フード・システムズ社マネージング・ディレクターと務める農学修士、博士のキース・ウッドフォード教授をはじめ、バージニア・クレイプール・メレディス栄養科学科教授 兼 ヴィリグニア・C・メレディス栄養政策教授兼名誉学部長 兼IDOH Connections IN Health CTSIディレクター兼 パデューCTSI臨床研究センター所長を務めるデニス・サビアーノ教授をお迎えしました。

さらに日本における専門家として、東京農業大学 動物科学科 動物栄養学研究室の庫本高志教授、医療法人創和会重井医学研究所 分子遺伝部門 松山誠部長、そして東京工業大学生命理工学院 山本直之教授といった先生方のご知見のもと研究と開発を共に進めてまいりました。

A2ミルクという名称は乳牛の遺伝子の種類をさしており、日本をはじめ世界中の乳牛のほとんどがA1ミルクになります。そのためA2ミルクを提供するためには、まずA2の遺伝子を持つ乳牛が必要になるのですが、A2の遺伝子のみを持つ乳牛は、A2の雄とA2の雌からしか生まれません。

一方で、動物愛護の観点から、これまで大切に育ててきたA1の乳牛を処分することはまったく考えられませんでした。

 

私たちのような酪農家は、乳牛の生育を家族の一員のように愛情を注いで見守っているものです。そういった背景から、私自身の牧場だけでも、すべての乳牛をA2遺伝子にしていく上で10年もの歳月を要しました。

乳牛

このようにA2ミルクへの取り組みは、世界中の知見を結集させて、気の遠くなるような歳月をかけて、日本のみなさまへお届けしていくために進めてまいりました。

 

そして2022年にはA2ミルク普及への土台作りの一年と位置付け、二つの柱を掲げました。

 

第一の柱「認証基準の設定」としては、国内における検査法および検査体制の確保に向けて、東京農業大学、北海道大学と共同研究を行い大きな成果を得られることとなりました。

 

東京農業大学 庫本教授は、日本における個体の遺伝子検査について論文で発表され、A2乳牛の遺伝子検査を確立していただいておりますが、それに加えて乳中のベータカゼインの検査についても重井医学研究所の松山先生と共同研究の成果として検査法を国内に先駆けて確立されました。

 

これにより国内基準の設定と国内における検査体制の確保を並行して進めていくことが可能になりました。数年前まで検査機関を海外に求めるしかなかった状況からの局面を迎え、信頼性のある検査体制構築に向けて大きく前進したものと思っております。

A2ミルク協会

第二の柱「国内におけるA2ミルク研究の推進」については、前述の東京農業大学、北海道大学の他、東京工業大学大学院、山本教授とも共同研究体制を構築することができました。

 

山本教授は2022年10月にA2ミルクの成分がからだに及ぼす良い影響についての論文を発表され、日本でのA2ミルク普及の大きな観点になると考えられています。

同月には国内初のA2ミルクシンポジウムが関西畜産学会として岡山大学で開催され、150名を超える参加者が集まり興味関心を反映する結果となりました。

 

国内におけるA2ミルクの研究は始まったばかりですが、すでに今後の研究における進展への期待が高まりつつあります。

 

2023年にはA2ミルクの普及に必要不可欠な事業として、牛乳の検査体制とA2牛乳の認証を確立していくためのA2牛個体登録システムを8月にリリースするとともに、東京ビッグサイトで開催されたアグリフードEXPO東京2023へ出展し、ご来場された業界関係者のみなさまにA2ミルクをご賞味いただく機会を得ました。

 

さらに年内を目途に、日本A2ミルク協会として推進する検査体制につきましても、牧場や乳牛の検査のみならず、生乳自体の検査や、流通から運送、加工段階まで一貫した検査を含め、独自の水準を構築していく運びとなりました。

大自然の恵み豊かな牧場で培われたA2ミルクを誰もが安心して食事に取り入れていただける日のために

日本A2ミルク協会はこれからも尽力してまいります。

日本A2ミルク協会

代表理事 藤井 雄一郎

草原
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