2021/06/30
【生産者インタビュー】あせひら乳業株式会社様
国内3例目となるA2ミルクの販売を開始したあせひら乳業株式会社様にインタビューを行いましたのでご紹介いたします。
★あせひら乳業について
「あせひら乳業」は平成9年に設立しました。
創業時から生乳や乳酸菌にこだわり、他社との差別化を図り、高品質のヨーグルトを生産することからスタートしました。その後、プリンやチーズケーキなどの乳製品を中心とした商品を展開しています。
そして令和2年12月からβカゼインA2A2の遺伝子を持つ乳牛から搾った生乳を使用した「おなかにやさしい牛乳」の発売を開始しました。
現在は工場に隣接した直営店、および自社ECサイトを中心に、同社のある広島県内のサービスエリアや道の駅、物産展等で販売を行っています。
さらに令和3年3月より「アリオ倉敷」(岡山県)に直営ショップをオープンし、多くの消費者に三次市の自然が生み出した安心・安全な乳製品を届けています。
★A2ミルクを商品化するきっかけ
もともと生乳に対するこだわりが強かったため、業界ニュースを通じてA2ミルクの存在を知ったものの、当初は〝オーストラリア/ニュージーランド発祥の注目を浴びている牛乳″という認識であったそうです。しかし、その後、米国や香港でのA2ミルクの需要の高さを知り、消費者が何を求めているのか大変興味を持ったこと、そして何よりもa2 milk companyの世界進出に牛乳の新たな可能性を感じたことだそうです。
そこで、あせひら乳業でも「当社においても、より多くの人に安心・安全な乳製品を届けられないか?」という思いで、研究を始めたそうです。
当時、日本国内では研究も十分に進んでおらず、少ない情報を元に手探り状態で取り組まなければならなかったので様々な試行錯誤があったといいます。
★「おなかにやさしい牛乳」を飲んだお客様の声。
「おなかにやさしい牛乳」を購入された方に直接話を聞くと「10年以上牛乳が飲めなかったが、飲んでも大丈夫だった!」という声がありました。
これには個人差があり100%保証できるものではない…としてはいるものの、まったく牛乳が飲めなかった人でも飲めるようになったという点は大きな一歩だと言えるでしょう。
また、「あまり差を感じないが、諦めていた牛乳が飲めるようになるかもしれないという希望が持てた」と前向きな意見もいただいています。
同社としても「個人差はあるので、まずはコーヒー牛乳やスムージー、ホットミルクなどから試してほしい」と言います。
中には物産展での購入をきっかけにリピート購入される方もいらっしゃるとのことです。人々の生活に密着した牛乳に、βカゼインA2A2の遺伝子を持つ乳牛から搾った生乳で作られた牛乳を求める人が徐々に増えてきていることは間違いないと言えるでしょう。
★A2ミルクを商品化する際の2つの課題。
A2ミルクを商品化する際、大きな課題が2つありました。
1つ目はA2ミルクを搾乳できる乳牛を特定するために遺伝子の検査を行うこと。
2つ目は輸送、製造過程において通常の生乳(いわゆるA1ミルク)と混ざらないようにすること。そのため、独自の製造および輸送方法の確保、そして独自で販売ルートを見出すことでした。
遺伝子検査に関しては、グループ会社であるみよし高原牧場で全頭ゲノム検査を行い、その中からA2の遺伝子を持つ乳牛のみを約60頭選定。その乳牛をあせひら乳業の工場に隣接するまどおし牧場で飼養することにしました。また、まどおし牧場から工場へパイプラインで直接生乳を送り、通常のミルクと混ざらない体制を整えました。そして、製品の良さを知っていただくために自社のECサイトの強化や様々な催事に出店して課題の解決に取り組んでいます。
★今後の展開について
日本国内では、まだA2ミルクの認知度は高いとは言えない現状です。
そこで、あせひら乳業は、βカゼインA2A2の遺伝子を持つ乳牛から搾った生乳から作られた牛乳の認知度を上げ、その牛乳の良さを消費者に伝えていく必要があると考えています。そのため、販売範囲を乳業業界のみならず、パンやケーキなどの製造メーカーなど牛乳と関りのある業界にも多角的に展開する予定です。
★読者の方に一言・・
あせひら乳業の牛乳工場は、牛舎からわずか5mです。その距離で搾乳した生乳をパイプラインで直接工場のバルククーラーに送るため、生乳の輸送に要する時間は他社と比較しても圧倒的に短いと言えるでしょう。それにより、より良い品質の生乳で牛乳を生産できることは、同社製品の強みであります。そこに、「お子様からお年寄りまで、牛乳に苦手意識のある方を含め1人でも多くの人に牛乳を好きになってほしい」というあせひら乳業創業以来の一貫した思いと先人が培ってきた技術、そしてその思いを未来へ繋げる牛乳をつくりたいという従業員の気持ち加わって、今後一層進化していきます。
以上、あせひら乳業株式会社様のインタビューでした。
(インタビュー 藤井・記事 藤本)