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【協会理事インタビュー】松村孟理事

当協会の松村孟(まつむらはじめ)理事にインタビューを行いましたのでご紹介いたします。

★日本A2ミルク協会理事紹介

日本A2ミルク協会の理事を務める「松村孟(まつむらはじめ)」氏は1985年生まれ。
酪農学園大学を卒業後、北洋銀行へ就職しました。
後に有限会社パインランドデーリィに入社し、現在は専務取締役を務めています。

同社がある北海道興部町(おこっぺちょう)は、オホーツク海に面した地域にあり、人口は約3700人。
決して大きな町とは言えませんが、生乳の年間出荷量は60,000tを超える道内でも有数の酪農地帯です。
酪農業のみならず、ホタテ貝を筆頭に約15000tの漁獲高があるなど漁業も盛ん。
また、大阪大学と協力してバイオマスプラント事業を進めるなど、環境負荷の低い循環型の農業にも積極的に取り組んでいる地域です。

同社では、ホルスタイン牛を約1900頭(育成牛900頭/経産牛1000頭)自家育成で管理。
令和2年度の年間搾乳量は約8800tで、令和3年度は10000t超を見込んでいます。

従業員は10名の外国人実習生を含め約50名。
そのうち正社員40名の8割が大卒で、平均年齢も29歳という他の牧場と比較しても珍しい社員構成です。
牛乳の生産はもちろん、その他にも商品開発や直売場の運営など、6次産業化も積極的に進めており事業は多岐に渡ります。

★A2ミルクを知ったきっかけ

松村理事がA2ミルクの存在を知ったのは、日本A2ミルク協会の藤井代表理事からでした。
当初は「海外でA2ミルク…と言うお腹を壊しにくい牛乳があるらしい」という程度の話に止まっていました。
しかし、少しずつ情報が入ってくるようになると、単にお腹を壊しにくい…と言うだけではなく「糖尿病や自閉症などの割と身近にある遺伝病の予防になる可能性がある」という話も耳に入るようになります。
この時点では論文も十分に揃っていないため確実な根拠はありませんでした。
それでも、松村理事はA2ミルクがいずれ社会に必要とされる…という直感があったようです。

どんなに医療が発達したとしても、健康や病気への不安は拭いきれません。
もし本当にA2ミルクが様々な病気や体調不良の予防になるのであれば、身体だけではなく心の健康にも繋がります。
身体だけでなく心の健康にも貢献出来る乳製品を作ることは、松村理事の理念に近いものでした。

加えて、自家育成を進めていたパインランドデーリィでは判別精液を使い、自社で計画的にA2A2牛を増やして行くことも可能な環境。
社会的に必要とされる牛乳を作る上で、大きなリスクもありません。
元々、じっくり考えて動くタイプ…という松村理事も「やらない理由がない」と、A2ミルクの導入を進める事になりました。

★3〜5年で無理なくA2A2牛に移行する計画

A2ミルクを生産するにあたり、はじめに行ったのが全頭の遺伝子検査でした。
この検査で全体の約3割の牛がA2A2牛、約5割の牛がA1A2牛と判明。
スタートの時点で既にA2A2寄りの状態だった結果に松村理事は「偶然にもこれはラッキーなことだった」と話します。
同時に、A2A2の遺伝子を持つ雄牛=判別精液の確保。
この状況なら、統計で考えて5年ほどで約9割の牛をA2化することが見込める…としており、商品化も3〜5年計画で実施が可能だと考えています。

確かに2〜3年の短期計画で考えれば、既存のA1牛を淘汰してしまえば話は早いですが、そこは経営面も考慮し「徐々にA2化を目指す」としています。
既にA2A2牛と判明している牛群は分けて育成し、それ以外の牛群はA2A2の判別精液を用いて交配を続ければ、無理せず自然にA2A2牛に移行して行くことができます。

これは、松村理事の得意とするデータに基づいた牧場経営が活かされている成果だと言えるでしょう。
今後、既存の牧場がA2ミルクの生産を始める際に、ひとつのモデルケースとして活用されることが期待されます。

★生産も販売も「真剣に取り組んでくれる人」と一緒に

現状の大きな問題は、やはり「正確な情報が少ない」事です。
興部町周辺の酪農家でもA2ミルクに関する興味は高まっており、国内の乳業メーカーでもA2ミルクに興味を示している事業所は徐々に増えています。
しかし、様々な効果が期待され周囲でもA2ミルクの効果を実感している人がいる一方、その効果に根拠が足りないのも事実です。

また販路に関しても課題は多くあります。
日本A2ミルク協会は「A2ミルクの正しい知識を勉強する」ための組織であり、販売を目的とした組織ではありません。
そのため、実際の販路は乳業メーカーと組み、自社でも開拓して行く必要があります。
牛乳の消費拡大を考えると、ホクレンのような大きな組織が動いてくれれば理想的…と考える一方、新しいカテゴリの牛乳になるため「最初はベンチャー的な乳業メーカーの方が動きやすいかもしれない」という考えや、近年は大手食品会社も自主流通によって生乳を確保する傾向が強まっています。今は「色々な選択肢の中から最適な選択をしたい」という考えです。

松村理事は「まずは情報を整理し、質の良いA2ミルクを作ることを優先的に考える」としながらも生産と販売を含め「真剣にA2ミルクに取り組んでくれる人と一緒になって真剣に仕事がしたい」と言っていました。

★常に「人」を意識した酪農経営を

これからの日本は少子高齢化の社会になることは避けられず、このままでは乳製品の国内需要の減少も避けられません。
社会情勢が大きく変化する中、牛乳の消費拡大やA2ミルクの普及を考えるのであれば、既存の手法のみならず、新しいやり方や若いリーダーが必要になると考えています。
また、国外にも視野を広げ、付加価値の高い乳製品を作って行く事も必要もあります。

日本A2ミルク協会の理事として、また有限会社パインランドデーリィの専務として。
それ以前に、一人の酪農家として。
「社会にとって必要とされ、最終的に乳製品を口にするお客様の事を常に考えて牛乳の生産を続けていきたい」と意気込みを見せていました。
(インタビュー 飯田・記事 藤本)

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