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【生産者インタビュー】株式会社大地の雫様

A2ミルクの生産に取り組んでいる株式会社大地の雫様にインタビューを行いましたのでご紹介いたします。

★大地の雫について

「大地の雫(代表:浦山宏一)」がある別海町は北海道の東端部に位置し、海を挟んで北方領土を望む場所にあります。
基幹産業の酪農は、全国1位の生乳生産量を誇り(年間約50万t/北海道全体の約1割)人口約14000人に対し、10倍近い数の牛が飼育されています。
その中で同社は搾乳ロボットやダブルミルキングパーラー、自動給餌機を積極的に導入。
省力化と生産性向上を図りながらも、カウコンフォート(牛の安楽性、快適性)の向上を追求しています。

また、次期代表を中心に若手スタッフが一丸となって取り組むスマート酪農の様子はメディアにも取り上げられ、別海町発の新たな酪農業の姿として注目を集めています。

 

★A2ミルクを知ったきっかけ

当初、A2ミルクの名前は業界の噂話でなんとなく知っていた程度。
隣接する「JAなかしべつ」が生産・販売をしている「NA2プレミアム牛乳」も自然と耳には入ってきていましたが「牛乳が苦手な人でもお腹を壊しにくいらしい」という認識に留まっていました。
興味はあるものの十分な情報が伝わっているとは言えず、組織として大きな動きが感じられない…というのも正直な気持ちだったそうです。

しかし、A2ミルクに期待される効果が確かなものであれば、将来的に牛乳出荷総量を増やし、新しい需要を喚起することができる可能性はあります。
そんな中、たまたま日本A2ミルク協会の存在を知り「年会費が高額だった」という理由で入会を即決。
「高額な会費だったので(日本A2ミルク協会)は本気だと思った。中身に関しては良くわからなかったけど、それだけで入会を決めた」と浦山代表は笑っていました。

★A2ミルク協会への要望

A2ミルクに関する情報が日本国内に十分に届いていないため、積極的に正しい情報を会員に伝えて欲しいと浦山代表は要望していました。
また、最終的にお客様が牛乳を安心安全に口にして貰うために、A2ミルクの生産方法・製品の基準・販売方法まで含め、協会としての基準作りを順次進めて欲しいとの意見を頂戴しました。

藤井代表理事も「A2ミルク協会はA2ミルクを正しく勉強する組織であり、自主流通を進める組織ではない」としながらも、最終的には乳業メーカーと協力していくことも視野に入れてはいます。
そのためにも日本国内でのA2ミルクの基準作りや生産基盤の整備は、協会としても活動の核になると考えです。
また「海外情勢を知る事は日本の酪農を守る事に繋がる」と考えており、最終的にはオールジャパンでA2ミルクについて正しい情報を共有する重要性を訴えています。

浦山代表もこの点に賛同しており、A2ミルクという新しいタイプの牛乳を生産する事で、日本国内での新しい需要を喚起し、乳量の総生産量を増やしていきたい…と言っていました。

★A2ミルク協会に期待する事

A2ミルクに関する勉強会の充実のほか、各会員との交流の機会を設けて欲しい…と要望を頂きました。
コロナ禍の社会情勢下、大人数で集まることはなかなか難しいですが、オンラインミーティングには限界があるのも事実です。
藤井代表理事も「年に1回ぐらいは直接集まる場を設けたい」と考えており、社会情勢を考慮して…としながらも前向きに検討しています。

浦山代表は「今までに無い新しい動きは良くも悪くも注目を集め、警戒される事もある」と言います。
実際、以前に別海町で自主流通の動きがあった際にも、自主流通を考えるグループと既存の組合との間に多少の感情的な軋轢もあったそうです。
そのため、際に既存の酪農家や乳業メーカーと対立するためではなく、あくまでも生産の幅を広げるための新しい選択肢として、A2ミルクを普及して欲しいと要望をしていました

★現状の課題と今後の展望

現状の課題と今後の展望

現在、大地の雫では全頭のゲノム検査を行い、A2A2牛群を作っています。
元々は改良等の別の目的で始めた検査でしたが、次のステップも視野に入れ2018年ごろからA2遺伝子の検査も始めました。
2021年現在で、全体の3〜4割がA2A2牛。
その他の多くはA1A2牛であることがわかりました。

大地の雫ではA1A2牛を短期間で淘汰する事は考えておらず、10年計画で順次入れ替えていく方向で進めています。
浦山代表はその間にA2ミルクの勉強を進めていきたい…としています。

近年、酪農業会を取り巻く環境は大きく変わってきています。
世界情勢も大きく動いており、日本の酪農を守るためにも世界の動向は注視すべきです。
現実問題、近年の酪農業会における投資コストの額は桁違いに上がっており、飼料等のコストも値上がり傾向が続いています。
そのため、むやみやたらに牛の数だけを増やしても安定した経営を維持する事は難しいでしょう。

浦山代表は「別海や周辺地域にもやる気がある若手はたくさんいるけど、まだ具体的な動きが足りない」と感じているそうです。
この先の10年計画でA2ミルクへの理解を深めると同時に、次世代の酪農家を育成して引き継いでいきたい…と考え、その思いを形にするために日本A2ミルク協会に期待を寄せていました。

(インタビュー・記事 藤本)

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