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【生産者インタビュー】松多牧場様

A2ミルクの生産に取り組んでいる松多牧場様にインタビューを行いましたのでご紹介いたします。

★酪農ヘルパーから新規就農へ

Q.はじめに松多牧場と松多様自身ついて紹介をお願いします。
A.私は1978年生まれ、福岡県出身で帯広畜産大学に進学するため北海道に来ました。
卒業後は足寄町にて酪農ヘルパーとして働き、その後は独立して十勝地方を拠点に個人開業の酪農ヘルパーをしていました。
松多牧場は北海道足寄町(あしょろちょう)に2019年に設立。
現在、搾乳牛は60頭・育成牛は40頭で、夏場は放牧する形で飼育をしています。

まだまだ牧場も3年目で整っていないところもあります。
しかし、長年の酪農ヘルパーの経験を活かして、新規就農予定の若者や後継者、酪農未経験者など、新たに酪農業に関わる人材の育成を目指しています。

Q.酪農ヘルパーから新規就農をするに至るまではどのような経緯がありましたか?
色々な牧場での仕事を通して、酪農ヘルパーや酪農家の人材育成の難しさを感じていたことが大きいです。
私自身が道外出身で、元々は北海道の牧歌的な生活に憧れたところもあり帯広畜産大学へ進学しました(最初は馬が好きでした)
その後、色々勉強や実習をしていく中で「牛も面白いな〜」と思うようになり、酪農ヘルパーの道に進むことになります。
実際に働いてみて感じたのが「研修の不十分さ」と「新規就農」の難しさです。
専門性が高く特殊な業種だとは言え、既存の研修制度だけでは酪農業界への入り口が狭すぎます。
そこで、酪農業界への間口を広げ人材育成を進めていくのであれば、やはり拠点となる自分の牧場が必要だろう…と思い新規就農に至りました。
ここは酪農ヘルパーとして働いてきた経験を活かしていきたいと思っています。

★A2ミルクについてはまだまだ勉強中

A2ミルクについてはまだまだ勉強中
Q.A2ミルクを知ったきっかけを教えてください。
A. 足寄町の酪農家からA2ミルクについて情報を得たのが最初でした。
最初は「へぇ〜、そんな牛乳があるんだ。付加価値が付くならメリットがあっていいのかな?」という程度の認識でした。
その後、徐々に仲間から情報が集まってくるにつれ「牛群のA2化は牛にとっても人にとっても健康面でメリットがあり、切り替えるリスクも少ない」と考えるようになり、導入を決めました。

Q.今、松多牧場でA2ミルク取り組んでいることはありますか?
A. 今はA2牛のみの種付けに止まっています。
新規就農3年目のため、今いる牛は各地から集められた牛を飼育している状態。
全頭のゲノム検査やA2ミルクのみを分けて出荷できるようにする体制は整っていません。
また、搾乳牛の頭数が多くないため自社流通を検討できるほどのロット数も確保できていないのも現状の課題です。
とは言え「自分が作った牛乳を直接お客様に飲んでもらいたい」という気持ちもあるので、将来的には松多牧場らしい形で関われたら…と思っています。
現在、松多牧場として日本A2ミルク協会に貢献できること…と考えると特に思いつきませんが、牛乳の裾野を広げるためにA2ミルクの勉強をしている段階だと言えます。
ただ、将来的に足寄町近郊でA2ミルクを生産する牧場が増えれば、共同で何かを考えてもいいかな?と考えてはいます。

★A2ミルク協会に期待すること

Q.生産者からみたA2ミルクの課題はなんでしょうか?
A. やはり認定基準が定まっていないため、具体的に何を準備するべきかわからないことです。
また、特許や商標の問題もまだクリアになっていないので、商品化を進めるのも難しいです。
現時点では牛群をA2化する方向で育成管理をしていますが、将来を見据えると明確な基準作りを急いで欲しいところです。

また、酪農関係者からの「北海道外のJAでも種付けをする際にはA2牛を指定している」などの独自の動きがあると耳にしました。
協会として基準作りに遅れが出れば、中途半端なA2ミルクが先に市場に流れる不安があります。
ここはスピード感を持って対応していただきたいと考えています。

★A2ミルクを通した酪農業界の活性化と人材育成

A2ミルクを通した酪農業界の活性化と人材育成
Q.今後の松多牧場について
A.まずは「安定的な育成頭数の確保」を優先して行います。
新規就農時の計画に対して約1年遅れているため、ここは頑張らないといけません。
また、当初からの目的である「人材育成」も合わせて行なっていきます。

牧場という仕事は世間一般の業種に比べてブラックになりがちですが、仕事自体には大きな魅力があります。
従業員が働きやすく、業界の入り口として研修制度や酪農ヘルパーを上手く活用して貰えるよう環境作りを整えていきたいと考えています。
牛乳自体は、栄養価・味・加工品への多岐にわたる用途など生活に必要不可欠な食品です。
一般消費者への選択肢を広げるという意味でもA2ミルクについて積極的に勉強をしていきたいと考えています。
その結果、酪農業が一般の方から見ても魅力的な仕事になり、職業選択の一つとして当たり前になるよう頑張っていきたいと考えています。

(インタビュー 飯田・記事 藤本)

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