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【協会理事インタビュー】細野淳理事

当協会の細野淳(ほそのじゅん)理事にインタビューを行いましたのでご紹介いたします。

★日本A2ミルク協会理事紹介

Q.はじめに細野理事と代表を務めるアルタジャパンについて紹介をお願いいたします。
A.私は東京農業大学を卒業後、野澤組に就職し6年半ほど輸入精液を担当していました。
その後、協同飼料株式会社(現:フィード・ワン株式会社)へ転職し、約11年間、アルタジェネティクス社の輸入精液を取り扱う部門に勤務しておりました。
そして、2009年に上記を引き継ぐ形でアルタジェネティクス社の正規輸入代理店として「アルタジャパン株式会社」の代表取締役として独立し、現在に至ります。
主な業務は精液の輸入代理店と受精卵の輸入卸売で、輸入精液の販売は主にABS(オールジャパンブリーダーズサービス)に委託していますが、受精卵は自社で販売し個人・法人の酪農家だけでなく全国のJAとも取引をしていております。
加えて2015年からは「NEOGEN社」と提携し、ゲノム検査の業務を行なっています。

Q.藤井代表理事が「細野理事がいなければ協会立ち上げは無かった」と言っていましたが?
A.私は焚きつけただけです(笑)

★世界の乳業市場を実際に見て感じた危機感

Q.A2ミルクを知ったきっかけを教えてください。
A.2012年ごろに、オーストラリアに初乳牛の買い付けに行った時に、A2ミルクについて情報を得たのが最初だったと記憶しています。
その後、次第にA2ミルクの情報が入るようになり、現地の関係者に詳しい話を聞こうとA2ミルクカンパニーにアポを取ろうとしましたが実現しませんでした。
しかし、2018年に現地のスーパーを実際に視察するとA2ミルクが非常に良く売れていることがわかります。一般的なスーパーでも陳列棚の約半分はA2ミルク。
富裕層向けの高級スーパーに至っては半分以上がA2ミルクで占められており、さらに一番目立つ所にA2ミルクが置かれていました。
A2ミルクについては健康面でのメリットを先に聞いてはいましたが、通常の牛乳の1.5〜2倍の価格帯にも関わらず売れ行きは好調であり、健康志向が強い人に特に人気がある商品だと実感しました。

Q.A2ミルクは世界的に認められた牛乳と考えていいでしょうか?
A.現段階では科学的なデータが不十分のため断言はできませんが…。
しかし、マーケットを見ると健康志向の強い人からの需要は大きく、特にこれからの日本人には必要不可欠な牛乳になると感じています。
酪農生産者の方々とは違う視点になりますが、A2ミルクを取り扱う会社の中には販売を開始して1年ほどで約190%上昇した会社もあります。
取り扱うスーパーも、ネスレ・ウォルマート・コストコ…といった世界規模の大型スーパーなどで、これは中国などを含め世界中でA2ミルクへの期待と需要が高まっている証拠と言えます。

私は日頃から「現状維持は後退と同じこと」と考えています。
これだけの大きな動きが世界で起きている=先に進んでいる…と肌で感じ、同時に「このままでは日本の酪農は遅れを取ってしまう」と強い危機感を覚えました。

★生産者と乳業メーカーの役割分担の重要性

Q.日本におけるA2ミルクの課題はなんでしょうか?
A.これは「ブランディング」と「マーケティング」の2つです。
日本においてA2ミルクの認知度は高いとは言えません。
酪農家がA2ミルクを知ることは当然重要ですが、それ以上に一般消費者にA2ミルクを知ってもらう事が急務です。
そのためには(多少、経費はかかりますが)メディアを使って、積極的にA2ミルクのプロモーションを展開する必要が出て来る時期がくるでしょう。
また、一定の生産量や売り上げを確保するためには人口密度の高い地域や健康志向の強い人向けのアプローチも必要になります。
具体的には東京や大阪などの都市部、また大手食品メーカーやレストラン業界などへの販売ルートが必要になってきます。

これは生産者だけで全てを賄いきれる仕事ではありません。
乳業メーカーや流通および販路をもった業者に協力をしてもらい、生産者と販売者の役割分担をした方がスムーズに行くと思います。

Q. A2ミルク協会としてどのように関わるのがよいと思いますか?
A.やはり「認証制度の必要性」は感じています。
乱暴な表現にはなりますが、A2ミルクの価値が高まればそれを悪用する人が出て来ることも当然として考えておくべきでしょう。
実際、牛乳自体の味は変わらず、色も同じなので見た目だけでは区別はできません。
例え既存の牛乳を「A2ミルクです!」と偽って高価格で販売したとしても消費者的にはわかりません。
そんな担保のない牛乳を飲んでお腹を壊したことで「やっぱりA2ミルクもだめだった…。」となってはA2ミルクのイメージが悪くなるだけです。
そうならないためにも、A2ミルク協会として一定のレギュレーションを作り、認証制度を設ける必要があります。
「多分、大丈夫…。」という見切り発車は大丈夫ではありません。
最終的に消費者の利益を守る環境作りが協会としては大事な活動になると思います。

★世界水準の酪農業を国内でも展開するための環境作り

Q.生産者も販売に興味はあると思いますが、今後の展開はどう考えていますか?
A.これはとても難しい話なんですが…。
個人的には成功モデルの確立を目指して、まずは一軒の牧場と乳業メーカーやその他の業者とプロジェクトを組んで実際に全国販売をするのが早いと思います。
しかし、A2ミルク協会はあくまでもA2ミルクについて研鑽を高める団体であり、販売を行う企業ではありません。
加えて、特許や商標でまだクリアになっていない問題も残っています。
それらも含めて考えると、協会としての立ち位置やまだまだ解決していかなければいけない問題が山積み…というのが本音です。

Q.細野理事としてA2ミルク協会でどのような活動をしていきたいですか?
A.直近の一番大きなテーマは「牛乳の検査体制の確立」です。
先述の通り、A2ミルク協会として確かなものを消費者に届けるためには、安心安全なA2ミルクを生産できるようにサポートをしていかなくてはなりません。
よく混同されがちなのですが、ゲノム検査=A2ミルクではなく、牛群のゲノム検査とミルクプロテインテスト(A2など)は分けて考える必要があります。
今後は、日本の酪農業界とA2ミルク普及のためにゲノム検査のノウハウを最大限に活用し貢献していきたいと考えております。

(インタビュー 飯田・記事 藤本)

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